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【展示会レポート】ワイヤレスジャパン × WTP・運輸安全物流DX EXPO 2025:未来社会を切り開く最新技術の洞察
2025年5月28日(水)から30日(金)にかけての3日間、東京ビッグサイトで「ワイヤレスジャパン × ワイヤレス・テクノロジー・パーク(WTP)2025」と「運輸安全・物流DX EXPO 2025」が同時に開催されました。このイベントは、最新のワイヤレス通信技術と運輸・物流業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するための革新的なソリューションが一堂に会する場として、国内外から多くの専門家や企業が集まり、活発な議論と情報交換が行われました。
本記事では、ネクスドライブの視点を通じて、この国内最大級のICT関連イベントで見られた最新技術の動向や会場の活気を詳しくお伝えします。これにより、貴社のビジネス戦略や新技術の導入において、どのようにこれらの技術を活用できるかのヒントを提供できれば幸いです。
第1章:主催とイベント概要について
主催団体の構成とイベントの狙い
「ワイヤレスジャパン × WTP 2025」は、株式会社リックテレコムが主催し、総務省や経済産業省などが後援する、国内で有数のワイヤレス通信技術に関する専門展示会です。5GやBeyond 5G、ローカル5G、IoT、LPWA(Low Power Wide Area)といった最新の無線技術から、それらを活用したソリューション、さらに電波の有効利用を促進する技術やデバイスまで、幅広いテーマをカバーしています。
一方、「運輸安全・物流DX EXPO 2025」は、運輸・物流業界が直面する「2024年問題」への対応や安全性の向上、業務効率化を目指したDXソリューションに特化した展示会です。自動運転技術や運行管理システム、倉庫内自動化、AIを活用した需要予測、カーボンニュートラルに貢献する技術などが展示され、業界の変革を力強くサポートする内容となっていました。
同時開催の意義と相乗効果
これら二つの展示会が同時に開催されることで、単独開催では得られない大きな相乗効果が生まれていたように感じられます。ワイヤレス技術は、運輸・物流DXを実現するための基盤技術として欠かせません。例えば、高精度な位置情報の測位、リアルタイムでの車両や貨物の追跡、遠隔操作、ドローンを用いた物流、倉庫内でのロボット稼働・監視などは、安定した大容量かつ低遅延の通信があってこそ実用化が進むのです。
来場者は、ワイヤレス技術の進化が運輸・物流業界の課題解決や新たなサービスの創出にどのように貢献するのかを具体的に理解することができ、また、出展企業にとっても異業種間の新たなビジネス連携の機会が生まれる場となっていたでしょう。まさに、社会インフラとしての通信技術と、その応用分野である運輸・物流DXが密接に連携し、未来社会の姿を提示する構成と言えるでしょう。
第2章:来場者の傾向
幅広い層のビジネスパーソンが集結
会場内は、最新技術や製品を求める多くのビジネスパーソンで活気に満ちていました。前回の「ワイヤレスジャパン × WTP」には25,566人、「運輸安全・物流DX EXPO」には8,501人が訪れ、合計34,067人の来場者数を記録しましたが、今回もそれに匹敵するか、あるいはそれ以上の賑わいを見せていました。
具体的な来場者の属性としては、「ワイヤレスジャパン × WTP」では、情報通信業、製造業(前回は全体の40.9%が製造業)、電機メーカー、SIer、研究機関、自治体関係者などが多く見られました。特に、自社の製品やサービスに5GやIoTをどのように組み込むか、またはローカル5Gを自社工場や施設に導入し、どのような効果が得られるかといった具体的な課題を持つ来場者が目立ちました。「運輸安全・物流DX EXPO」では、運輸会社、倉庫会社、物流システム開発企業、荷主企業、EC事業者などが中心で、ドライバー不足、長時間労働の是正、燃油価格の高騰、環境負荷低減、安全性の確保といった業界特有の課題に対し、AI・DXによる解決策を真剣に模索している様子が見受けられました。
DX推進への高い関心と具体的な導入検討フェーズへ
両展示会で共通して見られたのは、DX推進に対する強い関心でした。単なる情報収集にとどまらず、自社の課題を解決するための具体的かつ実務的なソリューションを比較検討し、導入に向けた具体的な商談を進める動きが活発でした。セミナー会場も多くの参加者で賑わい、最新技術の活用事例や導入効果に関する情報を求める熱意が感じられました。
さらに、サステナビリティやカーボンニュートラルといったテーマへの関心も高く、環境負荷を低減する技術やソリューションを熱心に見て回る来場者の姿も印象的でした。社会全体の持続可能性への意識の高まりが、企業活動にも大きな影響を与えていることが再確認できました。
第3章:出展ブースの様子
会場にはさまざまなブースが並び、各企業が最新の技術や製品・プレゼンテーションを競い合っていました。ここでは、特に注目を集めた分野や技術について、両展示会の特徴を交えてご紹介します。
「ワイヤレスジャパン × WTP 2025」展示ブース:進化する無線技術と多様な応用
- 5G/ローカル5Gソリューションの深化:5Gは、その超高速・大容量、超低遅延、多数同時接続といった特性を活かし、スマートファクトリーや遠隔医療、スマートシティなど多様な分野での利用が期待されています。会場では、より実用的な5Gソリューションや、特定のエリアで柔軟なネットワーク環境を構築可能なローカル5Gの導入事例、関連機器の展示が多数見られました。特に製造業における予兆保全や品質管理、遠隔作業支援といった具体的なユースケースが紹介され、多くの注目を集めていました。
- IoT技術のさらなる浸透:インターネットに接続されるIoTは、社会のあらゆる部分に広がりつつあります。LPWA(SigfoxやLoRaWANなど)やWi-Fi HaLowといった長距離・低消費電力の通信技術を活用したセンサーデバイスやデータ収集・分析プラットフォームが展示され、農業、環境モニタリング、インフラ監視、見守りサービスなど、多岐にわたる分野での活用事例が紹介されていました。
- Beyond 5G/6Gへの布石:5Gの次世代であるBeyond 5Gや6Gの研究開発(実用化は2030年前後と言われている)の動向を紹介するブースも見られました。さらなる高速化や大容量化、低遅延化に加え、超広範囲のカバレッジ拡大や超低消費電力、AIとの統合などがキーワードとして挙げられ、未来の通信社会の一端を垣間見ることができました。
- ワイヤレス給電・エナジーハーベスティング:電力をケーブルなしで供給するワイヤレス給電技術や、光や振動、熱などの環境中の微弱なエネルギーを電力に変換するエナジーハーベスティング技術も注目を集めていました。これらの技術は、IoTデバイスのバッテリー交換の手間を省き、メンテナンスフリーを実現するため、今後の普及が期待されています。
「運輸安全・物流DX EXPO 2025」展示ブース:差し迫った課題の解決と未来の物流システム
- 物流の「2024年問題」対策ソリューション:「2024年問題」として知られる、ドライバーの時間外労働の上限規制による輸送能力の低下やコスト増加への対応は、運輸・物流業界における最も重要な課題の一つです。会場では、配車計画の最適化システムや動態管理システム、AIを活用した需要予測による積載率の向上、中継輸送の支援など、業務の効率化と労働時間の削減に寄与する多くのソリューションが展示されていました。
- 自動運転・先進運転支援システム(ADAS):トラックの隊列走行技術や、特定エリアでの自動運転レベル4に対応した車両、先進的なADASを備えた商用車などが注目を集めていました。これらの技術は、人手不足の解消や事故防止に役立ち、実用化に向けた取り組みが加速していることを示していました。
- 倉庫内自動化・ロボティクス:ピッキングロボットや自動搬送ロボット(AGV/AMR)、自動仕分けシステムなど、倉庫内の作業を自動化し、省力化を図るソリューションも盛況でした。これらは労働力不足への対応に加え、作業の精度向上やリードタイムの短縮といった効果も期待されています。
- ドローン物流・新たな配送手段:山間部や離島への配送や災害時の物資輸送において、ドローン物流の活用が期待されています。機体の性能向上や運用システムの進化が進んでおり、実証実験から社会実装への移行が進んでいることを示す展示が多く見られました。ラストワンマイル配送の新たな担い手としての可能性を感じさせる内容でした。
- カーボンニュートラルへの取り組み:電動トラックや水素燃料電池トラック、再生可能エネルギーを利用した充電インフラ、モーダルシフトを推進するシステムなど、運輸・物流業界でのカーボンニュートラルの実現に向けた技術やソリューションが重要なテーマとなっていました。持続可能な物流システムの構築に向けた企業の積極的な取り組みが見受けられました。
自動で警備や点検、メーターの記録を行うロボット(アーム付きのものはエレベーターのボタンも押せる)
トラック車両周囲の視覚的な死角を解消するための360度全方位ビュー
物流業者向けのキャッチコピーを掲げて出展している名刺管理ツールSansan
両展示会を通じて印象的だったのは、新しい技術を単に展示するだけでなく、それらを組み合わせて具体的な課題を解決し、新たな価値を生み出そうとする「ソリューション志向」の強さです。AI、IoT、ロボティクスなどの技術がワイヤレス通信を通じて連携し、より高度で効率的なシステムとして機能する未来が映し出されていました。
まとめ
「ワイヤレスジャパン × WTP 2025」と「運輸安全・物流DX EXPO 2025」は、現代社会が抱える課題の解決と、より豊かで持続可能な未来社会の実現を目指す最新技術が集結した、非常に示唆に富む展示会でした。ワイヤレス技術の進化は止まることを知らず、その応用範囲はあらゆる産業に広がっています。特に運輸・物流業界では、自動化やAI / DXの推進が不可欠であり、通信技術がその基盤を支える重要な役割を果たしていることが再確認されました。
今回の展示会で得られた知見は、来場者の皆様にとって、自社のビジネスモデルの革新や生産性向上、新たなサービス開発のヒントとなるものが多かったのではないでしょうか。本レポートが、皆様の事業活動の一助となれば幸いです。
株式会社ネクスドライブでは、展示会出展のコンサルティングから展示会営業・展示会事務局代行までを提供し、展示会の成果を最大限に引き出します。お気軽にお問い合わせください。