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【展示会レポート】Japan IT Week 春 2025:最新IT・DX・AIトレンドの熱気を探る

2025年4月23日(水)から25日(金)までの3日間、東京ビッグサイトは最新技術を求める多くのビジネスパーソンで活気づいています。国内最大級のIT・DX関連展示会「Japan IT Week 春 2025」、「Japan DX Week 春 2025」、「営業・デジタルマーケティング Week 春 2025」、「EC・店舗 Week 春 2025」が同時に開催され、日本のビジネスシーンにおけるデジタルの現在と未来を示す重要なイベントとなりました。

AIの急速な進化、デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速、そして「2025年の崖」に象徴されるレガシーシステム刷新の課題など、企業を取り巻く環境が急速に変化する中、これらの課題解決に繋がるソリューションや最新技術動向への関心は非常に高まっています。本レポートでは、この大規模イベントの概要、来場者の動向、そして注目される出展ブースの様子を、より深く掘り下げてお伝えします。

 

Japan-IT-Week-1Japan IT Week春_2025-MAP

第1章:主催とイベント概要について

主催者とイベントの規模

この展示会を主催するのは、ブログでもおなじみの大規模展示会を運営するRX Japan株式会社です。同社は、各産業分野の最新技術や製品、サービスが集まるプラットフォームを提供し、ビジネスマッチングや情報交換を促進することで、業界の発展に寄与しています。

「Japan IT Week」はその中でも特に歴史と規模を誇る展示会であり、春と秋(幕張メッセ)、さらに大阪や名古屋でも開催され、年に4回、日本のIT・DX市場の動向を反映する重要な役割を果たしています。2024年の春開催では53,916人もの来場者を記録し、最終日には1日で20,000人以上が訪れました。2025年も同等かそれ以上の規模での開催が期待されており、まさに日本最大級のイベントです。IT企業のマーケターにとって、展示会施策を考える際の目標や基準となる展示会と言っても過言ではありません。

Japan-IT-Week-2

4つのWeekと専門展の詳細

この春の開催は、4つの主要な「Week」で構成されており、それぞれがさらに細分化された専門展を含んでいます。これにより、来場者は自分の目的や担当分野に合わせて、効率的にブースを巡ることができます。

  1. Japan IT Week: IoT、ITインフラ、ソフトウェア開発、セキュリティなど、企業のIT基盤を支える技術が集結。
    • ソフトウェア&アプリ開発 展: 業務システム開発、アプリ開発、ローコード/ノーコード開発ツール、オフショア開発など。
    • IoT・エッジコンピューティング EXPO:IoTプラットフォーム、受託開発、組み込み開発ツール、AI画像認識など。
    • 情報セキュリティ EXPO: サイバー攻撃対策、エンドポイントセキュリティ、クラウドセキュリティ、情報漏洩対策など。
    • データセンター EXPO(初開催): データセンター設備(冷却システム、サーバー、ストレージ、ラック)、生成AI用プロセッサなど。
    • IT人材不足対策 EXPO(初開催): IT人材サービス、リスキリング、AI研修、フリーランスマッチングサービスなど。
  2. Japan DX Week: AI・SaaS活用や業務プロセス改革など、全社的なデジタルトランスフォーメーションを推進するソリューションが中心。
    • AI・業務自動化 展: AIプラットフォーム、自然言語処理、AI画像認識、RPA、チャットボットなど。
    • 社内業務DX EXPO: バックオフィスDX、人事・労務DX、電子契約、クラウドERP、グループウェアなど。
    • データドリブン経営 EXPO: BIツール、データ分析基盤、データ連携ソリューション、CDP(顧客データ基盤)など。
    • 現場DX EXPO(初開催): 製造業向けSaaS、現場作業管理、VR、デジタルツイン、ロボット、ウェアラブル端末など。
  3. 営業・デジタルマーケティング Week: 営業活動の効率化とマーケティング成果の最大化を目指すテクノロジーが集まる。
    • 営業DX EXPO: SFA、CRM、セールステック、オンライン商談システムなど。
    • デジタルマーケティング EXPO: MA、Webサイト制作・改善、SEO/SEM、コンテンツ・SNS・動画・SNSマーケ、広告運用ツールなど。
  4. EC・店舗 Week: Eコマース事業の成長と実店舗運営の高度化・効率化を支援する最新ソリューションが集結。
    • ECサイトのUI/UX EXPO: 魅力的なECデザイン・ナビゲーション改善、購入プロセス最適化などのソリューション。
    • EC管理・物流 EXPO: 業務効率化システム、在庫管理、物流テクノロジー。
    • 店舗の人手不足対策 EXPO: セルフレジ、配膳ロボット、AIによるシフト最適化。
    • 店舗管理・運営 EXPO: POSシステム、キャッシュレス決済、在庫管理、従業員ツール。

これらの多くの専門展が一堂に集まることで、来場者はITインフラからアプリケーション、AI・DX戦略、マーケティング、EC運営に至るまで、自社ビジネスに関連する幅広い分野の最新情報を一度に収集できる仕組みとなっています。

第2章:来場者の傾向 - 課題解決への高い意欲と熱気

多様な来場者層と明確な目的意識

会場を歩いていると、さまざまな業種や職種のビジネスパーソンが熱心に情報を集めたり商談を行ったりしている様子が目に入ります。具体的には、以下の部門からの来場者が多く見られます。

  • 情報システム部門: 社内インフラの構築・運用、セキュリティ対策、基幹システム導入・刷新など。
  • 経営企画・DX推進部門: 全社的なDX戦略の立案・実行、新規事業開発、業務プロセス改革など。
  • マーケティング部門: デジタルマーケティング戦略、顧客データ分析・活用、リード獲得、ブランディングなど。
  • 営業部門: 営業プロセスの効率化、顧客管理、新規開拓、オンラインセールスの強化など。
  • 開発部門: AI開発、ソフトウェア・アプリケーション開発、システム設計、品質管理など。
  • 店舗運営・EC事業部門: ECサイト運営、店舗オペレーション改善、OMO戦略、顧客体験向上など。
  • 管理部門: デジタル人材育成、社内コミュニケーションツール導入、バックオフィス業務効率化など。

来場者の多くは、情報収集にとどまらず、具体的な技術比較、導入相談を目的としています。主催者データによれば、約7割が「導入検討のため」、約6割が「課長職以上」で、意思決定層も多く訪れています。これは、出展社にとって質の高いリードを得やすい環境とも言えます。

来場者が抱える現代的な課題

ブースでの会話や通路での立ち話に耳を傾けたり、ブースの装飾に掲げられたメッセージを見たりすると、現代の企業が直面している共通の課題が浮き彫りになってきます。

  • レガシーシステムからの脱却: 古くなった基幹システムの刷新、Excelからの脱却、AIやSaaSとの連携。
  • AIの業務利用: 属人化の解消、企画書や議事録の作成支援、顧客対応の自動化など、具体的なユースケースの探求。
  • サイバーセキュリティリスクの増加: 最近増えているセキュリティ攻撃や情報漏洩への対策。
  • IT・デジタル人材の不足と育成: DX推進に必要なスキルを持つ人材の確保。社内人材の育成。
  • 営業・マーケティングのデジタル化: 非対面営業の強化、顧客エンゲージメントの向上、マーケティングROIの改善。
  • 顧客体験(CX)の向上: オンラインとオフラインを融合したオムニチャネル化、パーソナライズされた体験。

来場者は各出展企業のソリューションに熱心に耳を傾けていました。オンラインでの情報収集が一般的になった今、デモや実機に触れたり、直接対話することの価値が再評価され、展示会への期待が高まっていることが分かります。滞在時間が長く、深い議論を求める来場者も増加しています。「Japan IT Week」の規模が大きいため、1日で全てを見て回るのは困難です。そのため、複数日にわたって来場したり、社内の複数人で参加することを推奨します。

第3章:出展ブースの様子と注目トレンド - 最新技術が切り拓く未来

会場内は、最新技術のデモやプレゼンテーション、活発な商談で活気にあふれていました。各ブースでは、来場者の課題解決に役立つ多様なソリューションが紹介されており、特に以下の分野での展示が盛んに行われていました。

Japan_IT_Week_3Notionによるプレゼンテーション

  1. 生成AIの活用:生成AIの活用は、どの展示会でも最も注目されるトピックの一つです。ソースコードの生成、要約、議事録の作成、チャットボットによる高度な顧客対応など、業務効率化に直結するデモが数多く展示されていました。AIマニュアルや海外のAI動向をまとめた冊子を配布するブースも目立ち、人気を集めているようでした。しかし、「AI」という言葉が独り歩きし、各ブースの内容が似通っている印象もありました。今後は、各社が差別化を図り、来場者にアピールすることが求められます。

  2. ローコード/ノーコード開発と業務自動化: IT人材不足への対策として、専門知識が少なくてもアプリケーション開発や業務プロセスの自動化を可能にするローコード/ノーコード開発への期待が高いです。これにより、現場部門が主導するDX推進や迅速な業務改善が実現可能です。SaaS、RPAも依然として人気があり、パズルのように構築できるワークフローや、AIとの連携によって、より高度で複雑な業務の自動化を実現するソリューションが見受けられました。

  3. サイバーセキュリティの高度化: サイバー攻撃が巧妙かつ悪質化し、企業の情報漏洩が毎月のように報じられていますが、防御策も進化を遂げています。ゼロトラストのアクセス制御やEDR、CASB、CSPMといったセキュリティ対策が重視されており、サプライチェーンリスク管理や従業員のセキュリティ教育も展示されてました。東1ホールにあったため、非常に多くの人が集まっていたエリアです。
  4. セールス&マーケティングテクノロジーの進化: 営業・マーケティングの領域では、SFA/CRM/MAツールの統合によるデータの集中管理とその活用が重要視されています。顧客の行動履歴やビッグデータを活用したパーソナライズドマーケティング、インサイドセールスの効率化、オンライン商談の質の向上、LTV(顧客生涯価値)の最大化を目指す分析ツールなどが紹介されていました。ビッグサイトの最も奥にある東7ホールに配置されていたため、個人的には東1-6ホールに配置されていれば、より多くの集客が見込めたのではないかと感じ、少し惜しいと思いました。

ブースでの工夫と熱気

各出展ブースでは、製品やサービスの特徴を明確に伝えるために、さまざまな工夫が施されています。大型モニターを使ったデモンストレーションや、実際に操作を体験できるコーナー、専門スタッフによる個別相談会が盛んに行われていました。「Japan IT Week」の大規模さを反映して、装飾やブースデザインにも力が入っており、中には1,000万円を超える豪華な装飾も見受けられました。通路を歩くだけでも最新トレンドを感じ取ることができ、各社の積極的な声かけやノベルティの配布が熱気を帯びていました。

Japan_IT_Week_4混雑する情報セキュリティEXPO入口付近
Japan_IT_Week_5私が以前所属していたパーソルグループ
IMG_0852 (1)
推しのポリプロピレン製バッグ(SAP)

まとめ

「Japan IT Week 春 2025」と同時に開催された「Japan DX Week」「営業・デジタルマーケティング Week」「EC・店舗 Week」は、現代ビジネスに欠かせないIT、DX、AIの最新トレンドを包括的に理解できる、非常に価値のある展示会です。AI、クラウド、セキュリティ、業務自動化、データ活用、セールステック、リテールテックなど、多岐にわたる分野の最先端技術とソリューションが一堂に集まり、活発な商談が行われていました。企業が持続的に成長するためには、これらの技術を正しく理解し、自社の戦略に組み込むことが不可欠です。会場の熱気からは、多くの企業が現状の課題を認識し、デジタル技術を活用して変革を進めようとする強い意志が感じられました。

このレポートを通じて、会場に足を運べなかった方々には、年に4回開催される「Japan IT Week」にぜひ訪れてみてください。展示会への出展を検討している企業には、ターゲティングと戦略策定のために、一度訪問することをお勧めします。

【公式HP】
Japan IT Week 名古屋(2025/05/28〜05/30 @ ポートメッセなごや):https://www.japan-it.jp/nagoya/ja-jp.html
Japan IT Week 秋(2025/10/22〜10/24 @ 幕張メッセ):https://www.japan-it.jp/autumn/ja-jp.html

Japan IT Week 関西(2025/11/19〜11/21 @ インテックス大阪):https://www.japan-it.jp/osaka/ja-jp.html

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