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【展示会レポート】Interop Tokyo 2025:インフラ技術とAIが拓く次世代ビジネス

2025年6月11日から13日にかけて、幕張メッセで国内最大級のITインフラ・テクノロジーイベント「Interop Tokyo 2025」が盛大に開催されました。本展示会は「デジタルサイネージ ジャパン 2025(DSJ)」、「APPS JAPAN 2025(アプリジャパン)」、「Vision AI EXPO 2025(画像認識AI EXPO)」との同時開催となり、IT業界に関わるあらゆる層のプロフェッショナルにとって、年に一度の情報収集と交流の絶好の機会となりました。

本稿では、インフラ技術の動向を主軸に置きつつ、多様な視点からイベントの核心に迫ります。貴社の技術戦略やビジネス推進の一助となる情報をお届けできれば幸いです。

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第1章:主催とイベント概要について

公式サイトと開催概要

今年のInterop Tokyoは、「社会に浸透するAIとインターネット」という大きな潮流を捉え、1994年の初開催から続く「相互接続性(Interoperability)」の検証という変わらぬ理念を掲げていました。主催のInterop Tokyo 実行委員会の下、マルチベンダー環境が当たり前となった現代のITインフラにおいて、技術が正しく連携し機能することを検証する場としての価値を改めて示しました。同時開催された各展も、それぞれが重要なテーマを担っていました。

  • デジタルサイネージジャパン 2025では、表示技術だけでなく、それを支える配信システムやネットワークインフラ、クラウドとハードの連携が焦点となりました。
  • APPS JAPAN 2025では、開発効率を上げるAI活用やノーコード/ローコードツールが注目を集めました。
  • Vision AI EXPO 2025では、高負荷なAI処理を現場で実行するためのエッジコンピューティング基盤が紹介されました。

これら4展が揃うことで、来場者はインフラ層からアプリケーション、具体的なビジネス活用まで、技術スタックを縦断して最新動向を把握できる、他に類を見ない構成となっていました。

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第2章:来場者の傾向

会場は終日、真剣な眼差しで情報を探る多くの来場者で活気に満ちていました。同時開催展を含んだ前回2024年の来場者数は124,482人を記録しましたが、今年もその熱気を引き継ぐ盛況ぶりでした。1日に4万人が訪れるモンスター展示会です。来場者層は非常に幅広く、それぞれの立場で明確な興味・目的意識を持っている点が特徴的でした。

  • IT部門のエンジニア:来場者の中心は、企業のIT基盤を支える技術者やエンジニアでした。ネットワーク、サーバー、セキュリティ、クラウドといった分野のプロフェッショナルが、自社のインフラを強化するための具体的な技術や製品を求めていました。同時に、彼らを率いる管理職層も、チームの技術力向上や次期IT戦略策定のための情報収集に余念がありません。

  • 購買担当者・情報システム担当者:ネットワーク機器や関連サービスを具体的に調達する購買・情シス担当者も、複数の出展企業と商談し、自社の要件に最適な製品を見つけるために会場を訪れていました。自社のネットワークインフラの更新や、セキュリティ強化、運用効率化のための最新技術を求めて、熱心にブース担当者の説明に耳を傾けていました。

  • コンサルタント:クライアント企業に対して最適なITソリューションを提案する立場にあるコンサルタントも多数来場していました。彼らは特定のブースで深く技術的な質問を投げかけ、実現性や費用対効果を厳しく見極めていました。

  • DX推進部門の担当者・責任者:全社的な業務改革や生産性向上を目指し、具体的なソリューションを探す姿が多く見られました。AI・DX、クラウドサービスの導入、セキュリティ対策、データ活用基盤の構築など、課題は具体的でした。

  • 経営層・事業開発担当者:新規事業のシーズを探るべく、AIやIoT、5Gといった先端技術の活用事例をリサーチしていました。特に、APPS JAPANのエリアでは、自社のビジネスにAIをどう組み込むか、具体的な商談を行う場面も散見されました。
  • マーケティング・店舗運営担当者:DSJのエリアを中心に、顧客体験の向上や効果的な情報発信の手法として、最新のデジタルサイネージやリテールテックの情報を収集していました。

このように、現場の最前線で活躍するエンジニアから、技術戦略を練る管理職、経営判断を下すトップ層、そして導入を支援する専門家まで、多様なステークホルダーが一堂に会し、それぞれの視点で情報を吟味する、非常に密度の濃いビジネスの場が形成されていました。

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第3章:出展ブースの様子

各展示エリアでは、多様な来場者のニーズに応える最新技術やサービスが、活発なデモンストレーションとともに披露されていました。

Interop Tokyo 安定と進化を両立するITインフラ:Interopのエリアは、ITインフラの今と未来を体感できる空間でした。

  • 次世代ネットワークインフラ:各社のブースでは、AI活用やビッグデータ解析を支える400G/800G対応の高速スイッチが注目を集めていました。これにより、データセンター内の通信が高速化し、企業のデータ活用能力が飛躍的に向上します。また、IOWN構想に関連する光技術の展示は、将来の超低消費電力・大容量通信への期待を抱かせるものでした。
  • サイバーセキュリティの現実解:「ゼロトラスト」実現を目指したSASEやSSEなどのソリューションが多数展示され、多くの来場者が熱心に足を止めていました。これらの技術は、テレワークをはじめとした柔軟な働き方を安全に実現するためには欠かせない存在です。会場では、実際の導入事例や運用の工夫に関する活発な質問や意見交換が行われていました。また、新しい認証技術の標準化を進めるFIDOアライアンスのパビリオンも高い関心を集めていました。
  • 運用効率化と自動化:AIを活用してネットワーク障害を予兆検知するシステムや、複雑なクラウド環境を一元管理するプラットフォームなど、IT部門の運用負荷を軽減するソリューションが人気を博していました。人手不足という共通課題に対し、テクノロジーでいかに立ち向かうかというテーマへの関心の高さがうかがえました。
  • ShowNet:Interopの代名詞である「ShowNet」は、今年もトップエンジニア達が最先端の機器を組み合わせてライブネットワークを構築。技術者だけでなく、管理職層もその先進的な構成や安定運用技術に高い関心を示しており、自社インフラの未来像を描くためのヒントを得ていました。

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Interop Tokyo 2025-6ShowNetエリア

DSJ、APPS JAPAN、Vision AI EXPO ビジネスを加速させるアプリケーションとAI:同時開催の3展では、より具体的なビジネス価値に直結するソリューションが主役でした。

  • デジタルサイネージ ジャパン(DSJ):AIカメラと連携し、視聴者の属性に応じて広告を出し分けるインタラクティブなサイネージは、費用対効果を重視するマーケティング担当者や店舗運営者の注目を集めていました。インフラ視点では、多数のサイネージにコンテンツを安定して配信するためのネットワーク技術も重要な要素でした。
  • APPS JAPAN(アプリジャパン):専門家でなくとも業務アプリを開発できるノーコード/ローコードツールは、事業部門のDXを加速させる切り札として関心が高まっていました。ChatGPTなどを活用した業務アシスタントAIの展示では、具体的な業務効率化のデモに多くの人が集まり、その導入効果について活発な議論がなされていました。
  • Vision AI EXPO(画像認識AI EXPO):製造ラインでの検品自動化や、店舗での顧客行動分析など、画像認識AIの活用事例が豊富に紹介されました。これらのシステムは、精度向上だけでなく、導入コストや既存システムとの連携のしやすさも重視されており、多くの企業が導入を現実的なものとして捉え始めている様子がうかがえました。

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まとめ

Interop Tokyo 2025は、ITインフラの進化がどのようにビジネスの成長や革新に直結するかを、改めて強く印象付けた重要な展示会でした。ポイントとなったのは「連携」と「価値創造」。ネットワーク、セキュリティ、クラウドといった各インフラ技術がシームレスに連携することで、AIやアプリケーションなど上位レイヤーの技術が最大限の価値を発揮します。さらに、エンジニア、管理職、経営者といったさまざまなプロフェッショナルが知識や経験を持ち寄り連携することで、初めて技術がビジネスの価値創造へ結びつくことを実感できました。

本イベントから得られる多様なソリューションや新たなビジョンは、技術への探求心を刺激するだけでなく、企業競争力を高めるための具体的なヒントが詰まっています。本レポートが、貴社の事業や技術戦略に少しでも貢献できれば幸いです。

株式会社ネクスドライブでは、展示会コンサルティングから1日から単発利用できる展示会営業代行・事務局代行までを提供し、展示会の成果を最大限に引き出します。お気軽にご相談ください。