2025年5月21日から23日にかけて、東京ビッグサイトは食品業界の最新技術とトレンドを求める多くの来場者で賑わっていました。「ifia JAPAN 2025(国際食品素材 /...
【展示会レポート】2025NEW環境展・地球温暖化防止展:環境ビジネスとGX・SX推進の最前線
2025年5月28日、東京ビッグサイトにてアジア最大級の環境・エネルギー分野の総合展示会「2025NEW環境展(N-EXPO 2025 TOKYO)」および「2025地球温暖化防止展(GWPE 2025)」がスタートしました。地球環境問題への意識が世界的に高まる中、企業経営においてもサステナビリティやGX(グリーン・トランスフォーメーション)、SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)への取り組みが不可欠となっています。この展示会は、最新の環境技術やソリューションが一堂に会する場として、国内外から大きな注目を集めています。
本レポートでは、初日の様子を踏まえ、環境関連産業の最新動向やGX・SXに関心を持つビジネスパーソンの皆様に向けて、展示会の概要と注目すべきポイントをお伝えします。
第1章:主催とイベント概要について
本展示会は、環境、資源、エネルギー分野に特化したメディア企業である日報ビジネス株式会社が主催しています。長年にわたり環境関連の報道とメディア活動を行ってきた同社の専門知識とネットワークを活かし、質の高い情報提供とビジネスマッチングの場を提供しています。
イベント基本情報:
- 正式名称:2025NEW環境展(N-EXPO 2025 TOKYO)、2025地球温暖化防止展(GWPE 2025)
- 会期:2025年5月28日(水)~5月30日(金) 午前10時~午後5時(最終日は午後4時まで)
- 会場: 東京ビッグサイト 東展示棟 及び 屋外会場
- 主催: 日報ビジネス株式会社(週刊循環経済新聞/月刊廃棄物/隔月刊イー・コンテクチャー/隔月刊地球温暖化)
- 開催規模(予定): 屋内2,000小間、屋外150小間(両展示会合計)
- 過去来場者数:2023年 90,604人、2024年 92,121人
「NEW環境展」は、廃棄物処理やリサイクル技術(再資源化)から、土壌・水質・大気汚染対策、解体技術、資源の有効活用に至るまで、幅広い環境保全技術をカバーしています。一方で、「地球温暖化防止展」は、CO2排出削減技術、再生可能エネルギー、省エネルギーソリューション、気候変動への適応策など、地球温暖化対策に特化した内容を提供しています。
これらの展示会が同時に開催されることで、環境問題に対する多面的なアプローチと、関連技術の相乗効果が期待されています。主催者は、この展示会の目的を「多様な環境技術やサービスを一堂に集めて情報を発信し、環境保全の啓発を行うことで、国民生活の安定と環境関連産業の発展を目指す」としています。「SDGs」の推進に向けて、環境汚染や地球温暖化の問題解決は避けて通れない課題であり、特に資源の有効利用や新エネルギー・省エネルギーの推進、CO2排出削減技術の活用は、企業の環境・温暖化対策において最も重要な取り組みであると強調されています。
主な出展分野としては、以下のようなカテゴリーが設けられています。
- NEW環境展:廃棄物処理・資源化、解体・リサイクル、汚水処理・水質浄化、大気汚染防止、土壌・地下水浄化、環境ソフトウェア・測定分析、環境対応素材・製品、バイオマス利用など。
- 地球温暖化防止展:再生可能エネルギー、省エネルギー設備・システム、CO2削減・吸収技術、次世代エネルギー、環境対応車、気候変動適応策、GX(グリーン・トランスフォーメーション)技術など。
さらに、会期中には「記念セミナー」も同時開催され、食品リサイクル法、再資源化事業等高度化法、プラスチックリサイクル、廃棄物処理法の4つのテーマに関する専門セミナーや脱炭素フォーラム講演会など、専門性の高い講演が行われました。これらの講演会・セミナーは、法改正の動向や最新技術、先進事例を深く学ぶための絶好の機会となったでしょう。
第2章:来場者の傾向
「2025NEW環境展・2025地球温暖化防止展」には、環境問題への対応策や新たなビジネスチャンスを求める多様な業種や職種の来場者が集まり、活気に満ちていました。主催者によれば、この展示会は主に以下の層を対象としています。
- 製造業、建設業、運輸業、サービス業など各産業の環境管理担当者、設備導入担当者
- 地方自治体・官公庁の環境政策担当者、廃棄物処理施設関係者
- 環境コンサルタント、エンジニアリング企業、金融機関の関係者
- 企業の経営層、CSR・SDGs推進担当者
- 研究機関・大学の研究者、学生
- その他、環境ビジネスに関心を持つあらゆる事業者
業態分類別の来場者内訳(公式HPより):https://www.n-expo.jp/documents/nexpo-data.pdf
これらの来場者は、自社や地域社会が直面する環境問題の解決、法規制への対応、コスト削減、新たな利益創出の機会を探ること、持続可能な事業運営の実現といった明確な目的を持って会場を訪れている様子が見受けられました。特に、カーボンニュートラルの達成に向けた具体的な道筋や、サーキュラーエコノミーへの移行を求められる中で、最新技術や規制の動向、他社の事例などの情報収集に熱心な姿が多く見られました。脱炭素経営、廃棄物削減と再資源化、省エネルギー化、環境DXといったキーワードへの関心は特に高かったようです。
前回(2024年5月22日~24日開催)の「2024NEW環境展・2024地球温暖化防止展」では、3日間で92,121名が来場しました。この数字は、環境問題および関連技術・ソリューションに対する社会的な関心の高さを示しており、2025年も多くの来場者が最新情報を求めて東京ビッグサイトに集まっています。
いすゞ自動車のEVごみ収集車
第3章:出展ブースの様子
広大な展示会場には、国内外の企業や団体が最新の製品や環境技術、サービスをぎっしりと展示しています。特に印象的だったのは、見たことのない巨大な重機や設備で、他の展示会では見られない場外実演会場が東棟の外にまで広がり、各社が来場者に積極的にアピールしていました。
実際に火が燃えている焼却炉が場外実演会場に展示されている。
ショベルカーのカッター着脱実演
全体的な傾向として、以下のテーマに関する展示が目を引きました。
GX(グリーン・トランスフォーメーション)と脱炭素技術
CO2の分離、回収、貯蔵、利用(CCUS)技術や、水素・アンモニア関連技術、非化石エネルギーへの移行を促進するソリューションが数多く展示されています。企業のScope1・2・3の排出量を算定し、削減計画の策定から実行支援までを包括的にサポートするコンサルティングサービスやソフトウェアも注目されています。再生可能エネルギー関連では、太陽光発電システムの効率向上技術、風力発電の最新トレンド、地熱やバイオマスエネルギーの利用技術などが紹介されていました。
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サーキュラーエコノミー(循環経済)の推進
廃プラスチックのケミカルリサイクルやマテリアルリサイクル技術、AIを活用した高度な廃棄物選別システム、食品廃棄物の飼料化、肥料化、エネルギー化技術などが積極的に紹介されています。製品の長寿命化、修理サービスの提供、シェアリングエコノミーといった資源効率を高めるビジネスモデルも多く見られました。リサイクル材を活用した製品や、環境負荷の低い素材を使用した製品の展示、持続可能な消費への関心の高まりを感じさせます。
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環境DX(デジタルトランスフォーメーション)とIoT・AI活用
センサー技術とIoTプラットフォームを活用したエネルギー使用量の可視化・最適化システム、AIによる設備の予知保全や異常検知ソリューションが紹介されています。ドローンや衛星データを活用した環境モニタリング、廃棄物不法投棄の監視システムなど、環境管理業務の効率化と高度化に貢献する技術が紹介されています。廃棄物収集運搬のルート最適化や、処理施設のスマート化を実現するDXソリューションも関心を集めていました。
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その他注目分野
水処理技術では、膜処理技術の進化や薬品を使わない処理、排水リサイクルシステムなどが展示されています。大気汚染防止関連では、VOC(揮発性有機化合物)処理技術や脱臭装置、PM2.5対策などが注目されています。生物多様性保全やネイチャーポジティブに貢献するソリューションの展示も徐々に増えている印象です。
各ブースでは、具体的な製品や機能、コスト削減の効果、環境負荷の軽減に関する議論が行われ、来場者は自社の課題解決に役立つ情報を熱心に収集していました。出展者と来場者の間では活発な質疑や商談が繰り広げられ、会場全体が熱気と活気にあふれていました。
ペットボトルキャップで作られたプラスチックボード(机や椅子に再製品化)
焼却炉の廃熱を利用したフグの養殖
まとめ
「2025NEW環境展・2025地球温暖化防止展」は、環境とエネルギーの分野における最先端の技術と知識が集まる、まさに「環境ビジネスの最前線」と言える展示会となりました。カーボンニュートラルの達成、循環型経済への移行、そして持続可能な社会システムの構築という世界共通の課題に対し、日本企業が持つ多様なソリューションとその可能性を再認識する機会となりました。
展示会で紹介される革新的な技術やサービスは、企業の環境対策を加速させるだけでなく、日本産業全体のグリーン化を推進し、新たな経済成長を生み出す力となり得ます。GXやSXへの取り組みは、もはやコストではなく、企業の競争力を高め、持続的な成長を実現するために不可欠な投資であるという認識が、会場全体の雰囲気からも強く感じられました。
このレポートが、環境問題への意識を高め、具体的な行動を検討している企業にとって、この展示会の価値を理解し、多くの示唆を得るための助けとなれば幸いです。今後、各企業がこれらの最新動向をどのように取り入れ、持続可能な社会の実現に貢献していくのか、引き続き注目されます。本展示会は業界最大級でありながら、1小間35万円(ベンチャーコーナーは16万円)という手頃な価格で出展が可能ですので、ぜひビジネスの可能性を広げる機会としてご活用ください。
株式会社ネクスドライブでは、展示会出展のコンサルティングから展示会営業・展示会事務局代行までを提供し、展示会の成果を最大限に引き出します。お気軽にご相談ください。
おまけ
いままで来場した展示会で1番バルーンが飛んでいました。
どうやって搬入したのか謎な巨大な重機は圧巻です。