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【展示会レポート】医薬品・医療機器、DXまで!CPHI Japan | ファーマIT&デジタルヘルスエキスポ | Medtec Japan 2025

2025年4月9日から11日にかけて、東京ビッグサイトは日本のヘルスケア産業の中心地となりました。「CPHI Japan 2025(国際医薬品開発展)」、「ファーマIT&デジタルヘルスエキスポ 2025」、さらに「Medtec Japan 2025」という、それぞれの専門分野を代表する3つの大規模展示会が同時に開催されました。

医薬品の研究開発や製造から、それを支えるデジタルトランスフォーメーション(DX)やデジタルヘルス技術、さらには医療機器の設計・製造に至るまで、ヘルスケア産業のサプライチェーンとイノベーションが一堂に集まる貴重な機会となりました。また、出展者や来場者の多くが外国籍であることから、国際色豊かな祭典となっていました。

私も足を運び、業界の最新動向を多角的に取材してまいりました。本記事では、3つの展示会を通じて見えてきた注目ポイントや業界全体のトレンドをレポートします。

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第1章:主催とイベント概要について

ヘルスケア産業の主要領域を網羅する3つの専門展

今回レポートする展示会は、以下の3つの主要な展示会から構成され、いずれも世界有数のB2Bイベント主催企業インフォーマ マーケッツ ジャパン株式会社によって主催されました。

  • CPHI Japan 2025(国際医薬品開発展)

    • 医薬品の研究開発から製造に至るサプライチェーン全体(原薬、中間体、添加剤、製剤技術、受託製造、包装、分析機器など)を網羅する国際的な専門展示会。多くの海外パビリオンが参加するグローバルなイベントです。

    • 公式サイト: https://www.cphijapan.com/

  • ファーマIT&デジタルヘルスエキスポ 2025

    • 製薬・医療分野におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)とデジタルヘルス技術(AIを用いた創薬、製造のDX、データ活用、遠隔医療など)に特化した専門展示会。多くのスタートアップも参加しています。

    • 公式サイト: https://www.pharmait-expo.com/

  • Medtec Japan 2025

    • 医療機器の設計・製造に関するアジア最大規模の専門展示会。対象分野には、材料、部品、電子部品、受託製造(CDMO)、ソフトウェア、規制対応などが含まれます。

    • 公式サイト: https://medtecjapan.com/

開催情報

  • 会期: 2025年4月9日(水)~4月11日(金)

  • 会場: 東京ビッグサイト

これらの専門性の高い3つの展示会が同時に開催されることで、来場者は医薬品と医療機器というヘルスケア産業の二大柱に加え、それらを支えるDXやデジタル技術、研究開発の最新動向を、一箇所で効率的に情報収集し、商談を行うことができる貴重な機会となっていました。各エリアは専門性を持ちながらも相互に関連しており、分野を超えた情報収集や新たなビジネスパートナーの探索の場として、大きな相乗効果を生み出していたようです。

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第2章:来場者の傾向

ヘルスケア産業の多様なプロフェッショナルが集結

3つの展示会が同時に開催されるという規模の利点を活かし、会場にはメーカー、製薬、医療機器、IT、バイオテクノロジーなど、ヘルスケア産業に関わる多様な専門家が集まりました。「CPHI Japan」エリアでは、原薬の調達や製造委託先を探す製薬企業の担当者や、最新の製剤技術や包装ソリューションを求める研究者や技術者が多く見受けられました。一方、「ファーマIT&デジタルヘルスエキスポ」エリアは、企業のDX推進担当者や情報システム部門、AIやデータ分析やマーケティング・セールスツールに興味を持つ来場者、デジタルヘルス関連の新規事業担当者などが中心となっていました。このエリアは特に賑わいを見せていました。「Medtec Japan」エリアでは、医療機器メーカーの設計・開発技術者、製造・品質管理担当者、材料・部品サプライヤー、そして医療機器分野への参入を目指す企業の担当者が熱心に製品説明を聞いていました。

これらの専門分野を超えて複数のエリアを訪れ、様々な視点から情報を集める来場者が多くみられ、分野を横断した情報収集が可能となっていました。特に注目すべきは、海外企業の出展や大規模な海外パビリオン(中国、韓国、イタリア)を含む外国籍の来場者が多く、私の印象では半数以上が外国籍の方だったように感じられました。商談は英語を中心に多言語で行われていました。

課題解決と新たなビジネス機会の探索

来場者の目的は、最新技術・製品の情報収集はもちろんのこと、自社の抱える課題解決に直結するソリューションの探索、具体的な商談、そして新たな協業パートナーの発掘など、多岐にわたっていました。医薬品の安定供給、開発スピードの向上、製造コストの削減、医療機器の高性能化・小型化、規制対応の効率化、そして新たなビジネスモデル構築など、各分野特有の課題に加え、業界共通のテーマに対する関心も高く、会場の至る所で商談が行われていました。「Medtec Japan」では大小さまざまな医療機器が展示されており、実際のモノを見れるという展示会ならではの良さがありました。

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第3章:出展ブースの様子

広大な会場は3つの展示会エリアに分かれつつも一体感を持ち、それぞれが最新の技術やサービスを展示するブースで所狭しと埋め尽くされていました。各エリアの見どころをお伝えします。

CPHI Japan(国際医薬品開発展):医薬品サプライチェーンの効率化と安定化

CPHI Japanエリアは、医薬品開発・製造の中心的な役割を果たしており、高品質な原薬や中間体の展示、進化する製剤技術(例:連続生産、徐放性製剤、バイオ医薬品関連技術)が注目を集めました。国内外の有力な受託製造・開発企業(CMO/CDMO)が多数参加し、多様なニーズに応えるサービスを強調していました。サプライチェーンの安定化・強化、環境対応(グリーンケミストリー)、最新の分析・計測技術も重要なテーマとして取り上げられました。特に海外企業の出展が多く、このイベントで最も広いエリアを占めていました。

ファーマIT&デジタルヘルスエキスポ:DXが加速する製薬・医療の未来

このエリアでは、AI、IoT、データサイエンスといった先端技術が、研究開発から製造、マーケティング、セールス、さらには患者ケアに至るまで、製薬・医療のあらゆるプロセスをいかに変革しつつあるかが示されていました。AI創薬支援、製造現場のスマートファクトリー化(MES/LIMS連携、予知保全等)、リアルワールドデータ(RWD)活用基盤、PHRやオンライン診療といったデジタルヘルスソリューションなどが具体的な形で展示され、業務効率化、コスト削減、新たな価値創造への期待感を高めていました。データセキュリティの重要性も改めて強調されていました。SalesforceやSansanといった常連企業も出展しており、最も賑わいを見せたエリアとなっていました。

Medtec Japan:医療機器を進化させる要素技術と製造ソリューション

Medtec Japanエリアでは、医療機器の設計・製造を支えるために、生体適合性に優れた高機能素材や、超精密加工技術、小型で高性能な電子部品やセンサー、信頼性の高い滅菌・クリーン化技術など、医療機器の基盤となる要素技術が一堂に集まっていました。さらに、医療機器に特化した受託製造(CDMO)サービスや、複雑化する規制・認証プロセスを支援するコンサルティングサービスも活発に展開されていました。医療用ソフトウェアの開発やサイバーセキュリティ対策も重要なテーマとして取り上げられていました。多様な展示物を実際に見たり触れたりしながら商談が進められている様子が印象的でした。さらに、各地域の産業振興機構や商工会議所のパビリオンが設けられ、地元の製造業中小企業を支援する姿が見受けられました。

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他展示会との違い

他の展示会と比べ、ノベルティ配布がほとんどなく、積極的な声がけも少なかったため、全体的に落ち着いた印象の展示会でした。これは、参加者が展示品や技術・研究に集中し、深い対話を重視する場であることを示しているのかもしれません。一方で、会場内には装飾で簡易的な会議室が複数用意されており、これらはテレフォンブースのようなコンパクトなサイズでありながら、プライバシーを確保しつつ、じっくりと着座して商談を行うことができる環境を提供していました。このような設計により、企業は落ち着いた雰囲気の中で、より具体的で詳細な商談を進めることができ、多くの参加者がこの機会を活用していたように思えます。商談の場としての機能が充実していることが、展示会全体の落ち着いた雰囲気をさらに強調していたようです。

まとめ

「CPHI Japan」「ファーマIT&デジタルヘルスエキスポ」「Medtec Japan」の3つの展示会が同時に開催されたことで、医薬品、医療機器、そしてそれらを支えるデジタル技術という、現代のヘルスケア産業の主要な要素とその最前線を一度に体験できる、非常に貴重な機会が提供されました。各分野における専門技術の進化はもちろん、DXによる業界全体の変革、そして分野を超えた連携と融合が、新たなイノベーションを生み出す原動力となっていることが示されたように思えます。

サプライチェーンの強化、研究開発のスピードアップ、製造技術の向上、個別化・精密化医療の進化、そして患者中心のケアの実現やAIの活用といった大きな流れの中で、日本のヘルスケア産業が持つ可能性と、今後の進むべき方向性を示す、活気に満ちた3日間でした。1日では全てを見て回ることはとてもできません。

今回参加できなかった方々や、ヘルスケア産業の未来に興味をお持ちの皆様にとって、このレポートが少しでも現状の理解や将来の展望に役立てば幸いです。私たち株式会社ネクスドライブは、今後もこのような業界の動向を展示会を通じて注視し、皆様のビジネスに貢献できる情報を発信し続けてまいります。

株式会社ネクスドライブ
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