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【展示会レポート】コンテンツ東京 2025 / XR・メタバース総合展 夏:コンテンツビジネスの未来を切り拓く先端技術の祭典

2025年7月2日(水)から4日(金)にかけて、東京ビッグサイトはコンテンツビジネスに従事する多くのプロフェッショナルたちの熱気と活気に包まれました。本レポートでは、RX Japan主催による国内最大級のコンテンツビジネス総合展「コンテンツ東京 2025」と、同時開催された「第5回 XR・メタバース総合展 夏」の現場の様子をお届けします。

本展示会では、最新技術がもたらす新しい表現手法から、事業成長を促進する多様なマーケティングの実践まで、業界の現在地と未来予測が集約されていました。各ブースで積極的に展開される商談や来場者の姿からは、コンテンツ業界に対する大きな期待感とエネルギーがひしひしと感じられます。

このレポートでは、展示会の全体的な概要から来場者の動向、各出展企業の取り組みに至るまで、多角的にご紹介します。貴社の事業に新たな気づきや発展のヒントを得ていただければ幸いです。

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20250702_CONTENT TOKYO(コンテンツ東京)XR・メタバース総合展【秋】-1

第1章:イベント概要について

本展示会は、コンテンツビジネスのハブとして機能する2つの大規模な展示会で構成されています。それぞれの特徴を理解することで、業界の大きな潮流を掴むことができます。

コンテンツ東京 2025

「コンテンツ東京」は、コンテンツの制作、権利、IT、マーケティングといった、コンテンツビジネスに関わるあらゆる要素を網羅した総合展です。以下の6つの専門展と1つの特設エリアで構成され、それぞれが特定の分野に特化しつつも、相互に連携することで大きな相乗効果を生み出していました。

  • ライセンシング ジャパン:キャラクターやブランド、アートなどのライセンスビジネスに関する日本最大級の専門展。国内外の有力なプロパティホルダーが出展し、ライセンス契約を目指す企業との間で活発な商談が行われていました。

  • 映像・CG制作展:アニメ、ゲーム、広告、映画などで活用される映像・CG制作技術が一堂に会する展示会。最新の制作ツールやVFX技術、ポストプロダクションサービスなどが紹介されました。

  • クリエイターEXPO:イラストレーター、デザイナー、作家、作曲家、動画クリエイターなど、あらゆるジャンルのクリエイターが自身の作品やスキルをアピールする場。企業担当者が新たな才能を発掘しようと、熱心にブースを回る姿が印象的でした。

  • 広告クリエイティブ・マーケティングEXPO:ブランディング、コンテンツマーケティング、SNS活用、動画広告など、企業のマーケティング活動を支援するサービスが集結。効果的なプロモーション手法を求める担当者で賑わいを見せていました。

  • コミュニケーションデザインEXPO:企業の「伝え方」を最適化し、企業価値向上を支援する専門展。Webデザイン、ブランディング、PR、IR関連のサービスが出展されていました。

  • イマーシブテクノロジーEXPO(初開催):今回新たに設立された、イマーシブ(没入型)技術に特化した専門展。五感を刺激する新たな体験価値の創出を目指す最新技術が展示され、多くの注目を集めていました。

  • CONTENT Hub(特設エリア):新たなコンテンツビジネスのアイデアや技術を持つスタートアップ企業や個人が集うエリア。未来のヒットコンテンツの種がここから生まれるかもしれません。

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content-tokyo-xr-fair-2025-7所狭しとブースが並ぶクリエイターEXPO

第5回 XR・メタバース総合展 夏

同時開催された「XR・メタバース総合展」は、XR(VR/AR/MR技術の総称)およびメタバース領域に特化した日本最大級の専門展です。ビジネス活用を目的とした具体的なソリューションが数多く展示され、企業のDX推進や新たな顧客体験の創出を目指す担当者にとって、非常に有益な場となっていました。

製造、建設、医療、不動産、エンターテインメントといった、あらゆる産業での活用事例が紹介され、単なる技術・製品展示に留まらない、実践的なソリューション提案が活発に行われていたのが特徴です。

これら2つの展示会が同時開催されることにより、コンテンツの企画・制作から、最新技術を活用した配信・体験、そしてマーケティングによる収益化まで、一気通貫のビジネスフローを会場内で体感できる構成となっていました。

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第2章:来場者の傾向

昨年2024年の開催では3日間で46,177名の来場者を記録しましたが、今年もそれに劣らぬ、もしくはそれを上回る熱気に包まれていました。今年は東展示棟や南展示棟で同時開催された「ライフスタイルWeek 夏 2025」や「自治体・公共Week 2025」からの来場者も多く見受けられ、会場全体が大いに賑わいを見せていました。また、例年通り企業経営層や意思決定層の来場割合が高いのも特徴です。主催者発表によれば、2024年夏展では来場者のうち30.3%が部長クラス以上であったとのことですが、今回も多くのキーパーソンが自ら情報収集や商談を行う姿が目立ちました。特に、会場では下記のような職種や役職の方々が活発に商談されていた印象です。

  • 企業のマーケティング・広報・宣伝担当者:最新のデジタルマーケティング手法やクリエイティブ制作のパートナーを探していました。

  • コンテンツ制作会社のプロデューサー・ディレクター:新たな映像技術や制作ツールの情報収集、クリエイターとのネットワーキングを目的としていました。

  • DX推進・研究開発担当者:業務効率化やトレーニング、遠隔支援などを目的としたXR/メタバース技術の導入を検討していました。

  • 新規事業開発担当者:XRやメタバースを活用した新たなサービスやビジネスモデルのヒントを求めていました。

  • 小売・EC事業の担当者:メタバース空間でのバーチャルストアや、ARを活用した新たなショッピング体験に関心を寄せていました。

このように、多様な業界からビジネスの中核を担う人々が集まることで、単なる製品・サービスの展示に留まらず、業界の垣根を越えた新たな協業やビジネスチャンスが生まれる土壌が形成されていました。

content-tokyo-xr-fair-2025-2大規模改修工事を終えた西展示棟

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第3章:出展ブースの様子

各出展ブースでは、自社の強みや最新技術をアピールするための工夫が凝らされていました。ここでは、特に印象的だったいくつかの分野についてレポートします。

コンテンツ東京 - 生成AIがもたらすクリエイティブの進化

今年の「コンテンツ東京」で最も注目を集めていたテーマの一つが、生成AIの活用です。映像・CG制作展や広告クリエイティブ・マーケティングEXPOを中心に、多くのブースで生成AIを活用したソリューションが展示されていました。

テキストから高品質な画像を生成するサービス、動画コンテンツの要約やテロップ作成を自動化するツール、マーケティングコピーを瞬時に数十パターン提案するシステムなど、クリエイティブ制作のあらゆる工程でAIが活用され始めています。

単に作業を効率化するだけでなく、これまで人間だけでは思いつかなかったような新たな表現やアイデアを生み出す「共創パートナー」として、AIを位置づける提案が多く見られたのが印象的でした。

XR・メタバース総合展 - ビジネス実装フェーズへの移行

「XR・メタバース総合展」では、技術が「面白い」から「使える」フェーズへと確実に移行していることが感じられました。特に、産業向けソリューションの進化には目を見張るものがあります。

  • デジタルツインと遠隔支援:製造業の工場ラインや建設現場を丸ごと3Dデータ化し、仮想空間上でシミュレーションやトレーニングを行う「デジタルツイン」技術。物理的な移動の制約なく、熟練技術者が遠隔地から若手作業員へ指示を送るARソリューションなど、人手不足や技術継承といった社会課題を解決する具体的な活用事例が数多く紹介されていました。

  • バーチャル・トレーニング:危険を伴う作業や、高価な機材を使用するトレーニングを、VR空間で安全かつ低コストに実施するソリューション。リアルな感覚を再現するハプティクス技術(触覚技術)と組み合わせることで、より実践的な研修が可能になっていました。

  • 新たな顧客体験の創出:小売業界では、自宅にいながら店舗での買い物を楽しめるバーチャルストアや、ARグラスを通して商品の詳細情報やレビューを現実世界に重ねて表示するサービスなどが登場。顧客との新たな接点を生み出し、エンゲージメントを高める試みが活発化していました。

新設「イマーシブテクノロジーEXPO」が示す未来

新たに設けられた「イマーシブテクノロジーEXPO」は、これからのコンテンツ体験の進化を示唆する注目の展示エリアとなりました。会場では、視覚や聴覚はもちろん、触覚や嗅覚といった五感を刺激する最先端のデバイスや体験型コンテンツが数多く披露されました。

具体的には、映像に合わせて香りを発生させる装置や、リアルな質感や衝撃を再現するハプティクスグローブなど、「その場にいる感覚」を実現する技術が開発・紹介されています。エンターテインメントだけでなく、医療分野でのリハビリテーション支援や不動産のバーチャル内覧など、多様なビジネス領域への実用展開も期待が高まっており、今後の技術進展から目が離せません。

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まとめ

3日間にわたって開催された「コンテンツ東京 2025」と「第5回 XR・メタバース総合展 夏」は、コンテンツビジネスと先端技術が融合し、新たな価値を創造していくダイナミズムを肌で感じられるイベントでした。

生成AIと人間のクリエイティビティの「融合」。リアルとバーチャルが滑らかに繋がるXR技術による世界の「融合」。そして、それらの技術が実証実験の段階を終え、具体的な課題解決やビジネス成長のためのツールとして社会に「実装」されていく力強い流れ。本展示会で示された数々のソリューションは、あらゆる企業にとって、自社のビジネスをアップデートし、新たな成長軌道に乗せるためのヒントに満ち溢れていました。

今後、コンテンツは単なる情報伝達の手段ではなく、顧客との関係性を深め、ブランド価値を高め、ビジネスそのものを変革する「体験」として、その重要性をますます高めていくことでしょう。この大きな潮流に乗り遅れないためにも、常に最新の動向にアンテナを張り、自社で何が活用できるかを考え続ける姿勢が不可欠です。本レポートが、その一助となることを心より願っています。

株式会社ネクスドライブでは、展示会コンサルティングはもちろん、1日から利用できる展示会営業代行や事務局運営まで幅広く対応しております。展示会での成果最大化に向けて、ぜひお気軽にご相談ください。