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【展示会レポート】総務・人事・経理Week [春] 2025:バックオフィスの未来像と実践的ソリューション

作成者: Shinsuke Uei|2025/06/26

2025年6月25日から27日にかけて、国内最大級のバックオフィス向け専門展「第23回 総務・人事・経理Week 東京 [春]」が、東京ビッグサイトの広大な展示ホールを舞台に盛大に開催されました。本記事では、3日間にわたるこの大規模イベントで見られた最新トレンドや注目すべきソリューションを詳細に分析し、その熱気と本質を余すところなくレポートします。

「総務・人事・経理Week」は、いわゆるバックオフィスを対象とした国内有数の専門展示会です。日本企業が直面する人手不足や法令対応の複雑化、そして急激なDX推進の潮流の中で、総務・人事・経理・法務といった本部機能は、従来の“管理・守り”の役割から、企業の持続的成長を支える“戦略・攻め”の中核へと変貌を遂げつつあります。

この展示会は、そうした課題を抱える組織に対し、解決策や最新技術を一度に比較検討し実践に繋げる絶好の場を提供しています。本記事が、皆さまの業務変革や生産性向上、そして今後の経営戦略構築に少しでも貢献できれば幸いです。

第1章:主催と展示会概要について

本展示会を主催するのは、年間を通して多様な業界で大規模な見本市を手がけ、その企画力と集客力で高い評価を得ているRX Japan株式会社です。「総務・人事・経理Week」の最大の特徴は、単一の展示会ではなく、以下の10の専門展が同時開催される集合体である点です。

  1. HR EXPO(人事労務・教育・採用)

  2. 働き方改革 EXPO

  3. 福利厚生 EXPO

  4. 会計・財務 EXPO

  5. 総務サービス EXPO

  6. オフィス防災 EXPO

  7. 法務・コンプライアンス EXPO

  8. PR EXPO(広報・IR支援/ブランディング/デジタルPR)

  9. 健康経営 EXPO

  10. ワークプレイス改革 EXPO

この構成により、例えば人事部の担当者が採用管理システム(HR EXPO)を探しながら、隣のブースで従業員のエンゲージメントを高める最新の福利厚生サービス(福利厚生 EXPO)の情報を得たり、総務部の担当者が契約書管理システム(法務・コンプライアンス EXPO)を検討しつつ、新しいオフィスレイアウトの提案(ワークプレイス改革 EXPO)に足を止めたり、といった部門横断的な情報収集が可能になります。

東京ビッグサイトの広大な東展示棟をほぼ埋め尽くすスケールで、各専門分野のリーディングカンパニーから新進気鋭のスタートアップまでが一堂に会する光景は圧巻の一言。このシナジー効果こそが、本展示会の価値を最大限に高めている要因と言えるでしょう。

第2章:来場者の傾向

会場全体には、各企業の課題解決に本気で取り組む参加者たちの熱意にあふれていました。前回2024年5月の開催時には3日間で33,937名が来場しましたが、今回の来場者数も同等かそれ以上の盛況ぶりが会場を包みました。

来場者は、大手企業からベンチャー・スタートアップに至るまで、総務・人事・経理・法務・経営企画など幅広い部門に所属する担当者、マネージャー、役員クラスまで多岐にわたり、それぞれが明確な課題意識を持って参加している様子が印象的でした。目的のブースへフロアマップ片手に急ぐ方や、偶然目にしたプレゼンテーション・デモンストレーションに見入る方など、至る所で活発な情報共有と商談が行われていました。

特に「人的資本経営」「ウェルビーイング」「業務効率化」「生成AI」といったテーマに関するセミナーやブースは、来場者の関心が集まり、多くの具体的な質問や「自社にはどのサービスが最適か」「導入後の投資対効果得られるか」といった実践的な議論が交わされ、現場の真剣な熱量が強く感じられました。なかでも、部署やチーム単位で同僚と来場している姿が多く見受けられました。

第3章:出展ブースの様子

数多くの出展ブースでは、各社が最新のテクノロジーや技術を駆使したサービスや製品を競い合うように展示していました。中でも、以下の分野が今年の大きなトレンドとして注目を集めていました。

  • 生成AI・LLMの業務活用が加速:生成AIの活用は“実証段階”から“本格運用”へと移行しつつあります。人事評価の一次案作成や社内規定に対する自動応答、AIによる面接プロセス、契約書ドラフトの自動生成など、多様な業務フローに組み込まれた具体例が会場の各所で披露されていました。単なる効率化にとどまらず、データドリブンな離職率改善や人材マネジメントへの実践的なソリューション提案が高い注目を集めていました。

  • DXによる業務プロセスの再構築:バックオフィスDXの進化が加速しています。電子帳簿保存法やインボイス制度に完全対応したクラウド型会計ソリューションが業界標準となり、請求書の受領から仕訳、支払申請、保管までを一気通貫で自動化できるAI-OCR連携サービスが注目を集めていました。法務分野では、契約書の作成、承認、締結、管理までを一元管理できる契約ライフサイクル管理(CLM)ツールの導入例が多数紹介されており、業務効率化とガバナンス向上の両立を図る取り組みが一層進んでいます。AI技術との親和性が高いバックオフィス業務は、今後もさらなる進歩が期待される分野です。

  • 「人」を資本と捉える新しい働き方とウェルビーイング:多様な働き方が定着するなか、従業員のエンゲージメント向上や健康管理は、企業経営における最重要テーマとなっています。会場では、従業員の成果をポイント化し相互に称賛できるピアボーナスツール、栄養バランスを考慮したオフィス向けの置き配型社食サービス、ストレスチェックや産業医面談までをワンストップで提供するメンタルヘルスケア・プラットフォームなどが大きな注目を集めていました。また、働きやすい環境整備の一環として、遮音性に優れた個室ブースや人間工学に基づくオフィス家具、さらにはオフィスの電力を再生可能エネルギーに切り替えるなど、SDGsを意識したソリューションの採用も確実に広がりを見せています。

出展企業各社は大規模な出展面積を確保し、豪華なブース装飾が目立っていました。声がけや商談に熱がでます。「総務・人事・経理Week」がいかに重要な展示会であるかが分かり、出展企業同士の競争も非常に活発でした。

まとめ

今回の「第23回 総務・人事・経理Week 東京 [春]」を通じて実感したのは、バックオフィス部門がもはや従来の「守り」の業務に閉じた存在ではなく、データとテクノロジーの活用によって新たな価値を生み出す「攻め」の戦略部門・経営の核へと進化しているという揺るぎない現実です。AIによる業務の高度化、DXを通じた生産性・効率の徹底的な向上、さらには従業員一人ひとりのウェルビーイング推進、これらは単独のテーマではなく、相互に連携しながら企業の競争力強化・持続的成長の根幹を成しています。

本展示会は、その実現に向けてすぐに活用できる知見・ツールの宝庫であったと言えるでしょう。得られた最新情報やノウハウを組織に持ち帰り、具体的な業務改革や新しい価値創造にどう転化するかが今後問われます。バックオフィス部門が変革と成長の主導役としてさらに存在感を高めていくことが期待されます。

株式会社ネクスドライブでは、展示会コンサルティングはもちろん、1日から利用できる展示会営業代行や事務局運営まで幅広く対応しております。展示会での成果最大化に向けて、ぜひお気軽にご相談ください。