2025年6月4日(水)から6月6日(金)までの3日間にわたり、東京ビッグサイトを会場として「電子機器トータルソリューション展 2025(JPCA Show 2025)」が盛大に開催されました。本展示会は、電子機器の設計・製造・実装から最新ソリューションに至るまで、エレクトロニクス業界の先進技術が一堂に集結する国内最大規模の展示会です。AIやデジタルトランスフォーメーション(DX)、サステナビリティへの注目が高まる中、本記事では今年の展示会を通じて見えてきた業界の現状と未来像についてレポートします。
本展示会の主催は、一般社団法人日本電子回路工業会(JPCA)です。JPCAは、電子回路業界の健全な発展を目指し、技術の標準化や情報提供、国際交流などを推進する業界団体です。そのJPCAが主催する「JPCA Show」は、電子回路技術を核としながら、関連する技術や製品、サービスを網羅した総合展示会として、長年にわたり業界関係者から高い注目を集めています。今年の「電子機器トータルソリューション展2025」は、以下の展示会で構成されていました。
こうした各分野の専門展示会が同時に開催されることで、来場者は自分の専門領域に限らず関連分野の最新動向も幅広く効率的に把握することができます。エレクトロニクス分野に関する多彩な技術やソリューションが、部品から完成品まで一堂に集まる点が、この展示会ならではの大きな魅力です。
会場は3日間を通して活気に満ち、多くの来場者で賑わいました。昨年(2024年)の来場者数48,334名を上回り、公式発表によると2025年は49,760名が来場したとされています。今年の展示会の盛況ぶりは、会場の熱気からも強く感じ取れました。
来場者の層は非常に多様でしたが、特に目立ったのは、製品開発を支える設計・開発技術者や、生産技術、品質保証などの製造現場の担当者でした。また、経営層や経営企画、営業担当者の姿も多く、それぞれが具体的な課題を意識して会場に足を運んでいる様子がうかがえました。業種としては、電子・電子機器製造、材料・化学品製造、半導体・電子部品製造関連の来場者が多かった印象です。
来場者の主な目的は、新製品開発に向けた情報収集や、既存製品のコスト削減・性能向上を目指した技術の探索、さらには新たなビジネスパートナーの発掘など、多岐にわたりました。各ブースでは、担当者が熱心に説明に耳を傾けたり、具体的な技術課題について出展者と活発に意見交換する様子が至る所で見受けられました。
今年の出展ブースで特に関心を集めていたのは、「高速通信(5G/6G)」「半導体技術」「車載エレクトロニクス」「IoT」「サステナビリティ」といった分野でした。
高速通信(5G/6G)関連:5Gの普及や次世代6Gを視野に入れた高周波対応基板材料、信号伝送損失を抑える新たな設計・実装技術など、多彩なソリューションが紹介されていました。ミリ波対応の低誘電率・低誘電正接基板や微細配線技術などは、多くの技術者の注目を集めていました。
半導体技術:半導体技術のコーナーでは、半導体の高性能化を支えるパッケージング技術が注目されており、チップレットに代表される新しい実装方法や、それに伴う検査・測定技術の進化も間近で見ることができました。半導体不足という課題を乗り越え、さらなる高性能化・高集積化を目指す業界の姿勢が伝わってきます。
車載エレクトロニクス:CASE(Connected, Autonomous, Shared & Services, Electric)の進展により自動車搭載の電子部品が増加し、高電圧・大電流対応のパワーモジュール向け放熱基板や、過酷な環境下でも高い信頼性を確保する実装材料などが展示の中心でした。
IoTとサステナビリティ:IoTおよびサステナビリティ分野では、あらゆるモノがインターネットにつながる時代を見据え、各種センサーデバイスや、柔軟な実装が可能なフレキシブル基板などが多数展示されていました。加えて、環境負荷低減を目指すリサイクル可能な素材や、製造工程の省エネ化を図るソリューションなど、企業の環境配慮意識の高まりを反映した展示も充実していました。
各ブースでは製品やパネルの展示だけでなく、実際のデモンストレーションやミニセミナーも活発に行われ、来場者たちが熱心に最先端技術に見入る様子が印象的でした。
「電子機器トータルソリューション展 2025」は、エレクトロニクス業界が抱えるさまざまな課題と、それに対応する最新技術の動向を浮き彫りにした非常に意義深い展示会となりました。高速通信や半導体技術、自動車の電子化といった大きなトレンドだけでなく、地球環境への配慮が今後の開発の重要なテーマであることも改めて認識させられました。
本展示会で得た知見は、これからのビジネスを進めていくうえで極めて価値あるものです。最先端の技術動向を把握し、それをいかに自社の製品やサービスに応用していくのか、この問いに誠実に向き合い続けることが、変化の激しいエレクトロニクス業界で競争力を維持するカギとなります。弊社も、今回の展示会で得た最新情報を活かし、お客様の多様なビジネス課題に対して、より高付加価値なソリューションを今後もご提案してまいります。
株式会社ネクスドライブでは、展示会出展のコンサルティングから1日から単発利用できる展示会営業代行・事務局代行までを提供し、展示会の成果を最大限に引き出します。お気軽にご相談ください。