2025年10月7日(火)から10月10日(金)まで東京ビッグサイト東展示棟4〜8ホールで開催されている「JAPAN PACK 2025 日本包装産業展」は、国内外から包装関連技術が集結する国内最大級の総合展示会です。本レポートでは、包装産業の未来展望を具体的に掘り下げ、特に関心を集めていたデジタルトランスフォーメーション(DX)とグリーントランスフォーメーション(GX)の最前線について詳しくご紹介します。
生活に欠かせない「包む」という行為は、今や持続可能性と生産性の観点から大きな変革を求められています。本展示会では、そうした変化の方向性が示され、包装機械や包装資材、食品加工、物流、AI・DXといった幅広い分野で、実用化が進んだ最新ソリューションが数多く展示されました。本レポートが皆様の今後の事業展開や意思決定の一助となれば幸いです。
JAPAN PACK 2025は、一般社団法人日本包装機械工業会が主催しています。単に機械や資材を展示するだけでなく、包装が持つ社会的な役割と産業合理化への貢献を目的として開催されています。
今回で35回目となる本展示会は、「BEYOND|包むで創る人と未来と」をテーマに掲げています。このテーマには、【これまでの包装の常識や通念を“超えて”革新的なイノベーションを『包むで創る』】こと、そして【様々な課題を乗り“越えて”持続的に発展して『人と未来を』豊かにすること】を目指すという強いメッセージが込められています。こうしたテーマのもと、DX(デジタルトランスフォーメーション)やGX(グリーントランスフォーメーション)が核となる多様で広がりのある包装産業展として開催されました。
会期には国内外から559社・団体が出展し、総小間数は2,073小間にのぼりました。この規模は前回を大きく上回っており、包装産業への技術革新や市場拡大への高い期待がうかがえます。東京ビッグサイト東展示棟の広大な会場をフル活用し、通常より長い4日間の会期中、幅広い分野の最新技術のブースが所狭し並び、会期全体で40,000人の来場者が見込まれています。
開催初日から、JAPAN PACK 2025の会場は早くも多くの来場者で賑わいを見せていました。特に東8ホールの特設エリアや大手包装機械メーカーの大型ブースでは、絶え間なく活発な商談が繰り広げられている様子が印象的でした。
来場者おすすめ分野として紹介された出展者一覧からも、製パン・製菓、麺類、飲料・乳製品などの食品業界に加え、医薬品や化粧品、日用品といった品質基準が高く、迅速な生産体制が求められる分野の関係者が多く見受けられました。これらの業界共通の課題としては、人手不足の深刻化、環境規制への対応、食品ロス削減などが挙げられます。
ブースでは、既存ラインの課題解決や効率化、省エネルギー化に向けた具体的なソリューションを求めて積極的に質問する姿が多く見られました。さらに、遠隔監視やデータ活用などDX分野、そしてAIの活用にも大きな関心が集まり、現場のデジタル化への期待の高さが感じられました。会期初日の来場者数は6,453名に達し、業界全体の注目度の高さが十分にうかがえます。
JAPAN PACK 2025の会場では、「包装×DX」「包装×GX」を強調した主催者の意図が随所に感じられ、技術革新への熱意と活気にあふれていました。各企業のブースは、単なる製品展示にとどまらず、包装業界が直面する二大課題に対する実践的なソリューションの発信拠点として大きな役割を果たしていました。
・生産ラインの未来:人手不足を解消する「知能化と自動化」(DX)
包装ラインにおける自動化やDXは、いまや新たな段階へと進化しています。今回は特に「知能化と自動化」に注目が集まり、単なる機械の置き換えにとどまらない先進的な取り組みが数多く見受けられました。 設備稼働管理システム(MMS)やAI技術による予兆保全技術でライン全体のデータをリアルタイム可視化し、AI分析による最適なメンテナンス時期の予測で、予期せぬ停止を防ぐ製品が紹介されました。これによりOEE(総合設備効率)の最大化や、メンテナンスの属人化解消の効果が示されています。
さらに、人手不足や多品種少量生産への対応として、進化した協働ロボットや高速ピッキングロボット、ワンタッチ着脱式の治具による段取り替え時間の短縮も注目されました。これらの技術の成熟が省人化を実現します。また、AI画像検査機により高速ラインでの微細な不良や印字チェックも可能となり、品質保証と生産速度を両立するソリューションとして高い関心を集めていました。
・包装材の新たな価値創造:環境負荷低減とビジネス効率の両立(GX)
GXへの取り組みは、環境対策を超えて包装材のライフサイクル全体の見直しを通じたビジネス効率向上へとシフトしています。特に、リサイクル性を高めるモノマテリアル対応機械や、包材使用量削減・余剰材削減技術が注目されました。新型ラベリングマシンや自動測長包装システムは、プラスチック削減とコスト最適化の両立策として評価されています。
また、食品ロス削減にも貢献する包装技術の進化により、内容物の鮮度保持やサプライチェーン全体でのロス削減にもつながっています。これらの技術は、包装産業が持続可能な社会づくりに重要な役割を果たしていることを示しています。
JAPAN PACK 2025は「BEYOND」のテーマを体現し、包装産業の変革期を実感させる展示会でした。会期を通じ、環境対応とAIを含めたデジタル技術による生産性向上という2つの大きな潮流が融合している現状が明らかになりました。
「包装×DX」「包装×GX」の具体的なソリューションは、人手不足やコスト競争力強化、環境規制への対応といった国内製造業の課題に実現性のある解決策を提示していました。展示会で紹介された最新の技術やサービスは、今後の事業戦略を考える上で不可欠な情報源となるでしょう。本レポートが、包装機械や環境配慮型素材の導入、DXツールの活用などにおいて、貴社のサプライチェーン戦略における有益な投資判断のご参考となれば幸いです。
ネクスドライブでは、展示会コンサルティングから1日単位の展示会営業代行、営業・マーケティング顧問まで幅広いサービスを提供しています。展示会での成果最大化をお考えの際は、ぜひご相談ください。
【10/20(月)開催ウェビナー】コスト逆算で導く展示会出展KPI設計術 申込受付中