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【展示会レポート】インテリア ライフスタイル 2025:これからのライフスタイル市場の潮流
2025年6月18日から20日の3日間、東京ビッグサイトで「インテリア ライフスタイル 2025」が開催されました。本展示会は、これからの暮らしを形作るデザイン性の高いインテリア商材やライフスタイルアイテムが一堂に会する、日本最大級の国際見本市です。本記事では、会場の熱気とそこから見えてきた業界の最新トレンドをレポートとしてお届けします。「インテリア ライフスタイル」は、国内外の最新デザインが集結し、新たなビジネスチャンスが生まれる場として、業界関係者から毎年高い注目を集めています。家具、照明、テキスタイルからテーブルウェア、ファッション雑貨に至るまで、ライフスタイルを構成するあらゆるジャンルの製品が集まる本展は、市場の"今"と"未来"を映し出す鏡と言えます。
第1章:主催とイベント概要について
「インテリア ライフスタイル 2025」は、世界最大級の見本市主催会社であるメッセフランクフルトの日本法人、メッセフランクフルト ジャパン株式会社が主催しています。ドイツ・フランクフルトで開催される世界最大級の国際消費財見本市「アンビエンテ」と、家庭用・業務用テキスタイルの国際見本市「ハイムテキスタイル」を母体としており、そのグローバルなネットワークと知見が本見本市の質の高さを支えています。
■開催概要
- イベント名:インテリア ライフスタイル 2025 (Interior Lifestyle Tokyo)
- 会期:2025年6月18日(水)~ 20日(金)
- 会場:東京ビッグサイト 東展示棟
- 主催:メッセフランクフルト ジャパン株式会社
- 前回(2024年)来場者数:16,577名
本展示会は、デザイン性の高い製品を求める小売店のバイヤーや、ホテル・商業施設・オフィスなどの空間を手がける設計事務所やデザイナーといった、いわゆるコントラクト市場のプロフェッショナルを主な対象としています。出展製品は家具、食器、テキスタイル、照明器具、生活雑貨など多岐にわたり、暮らしを豊かにするための新たなアイデアと商材を求める出展者と来場者にとって、欠かせない展示会となっています。
また、会場内では多彩な特別企画も実施されました。「LIFESTYLE SALON」と題されたトークショーでは業界のキーパーソンが登壇し、最新のトレンドやビジネスに関する洞察を共有していました。「インクルーシブデザイン プロダクト」では、従来のデザインプロセスでは十分に取り込まれてこなかった障害者など多様なユーザーを初期段階から積極的に巻き込み、ともに価値を創出していくアプローチで生み出されたプロダクトを特別展示として体験できる貴重な場となっていました。
第2章:来場者の傾向
前回開催の「インテリア ライフスタイル 2024」では、3日間で16,577名の来場者数を記録しました。本年もその熱気を引き継ぎ、多くのビジネスパーソンが会場を訪れていました。
来場者の内訳として目立つのは、ライフスタイルショップやインテリアショップ、百貨店などの小売業関係者です。彼らは、自店の品揃えを強化し、他店との差別化を図るための新たな商材を真剣な眼差しで探していました。特に、作り手の想いやブランドストーリーが感じられる製品、そしてサステナビリティを意識したアイテムへの関心は非常に高いものがありました。
また、設計事務所、インテリアデザイナー、デベロッパーといったコントラクト市場の関係者の来場も活発でした。住宅はもちろんのこと、ホテル、レストラン、オフィスなど、多様な空間における付加価値向上のためのヒントを求めて、熱心に出展者と意見交換をする姿が印象的です。
さらに、異業種からの来場者が増えている点も近年の傾向です。例えば、企業のブランディング担当者がノベルティやギフトを探しに来たり、新規事業開発のためにライフスタイルトレンドの調査に訪れたりするなど、インテリア・デザイン業界の枠を超えた広がりを見せています。これは、ライフスタイルという概念がビジネスのあらゆる側面で重要視されていることの表れです。
第3章:出展ブースの様子
会場内はテーマ別にゾーニングされており、来場者が目的の製品を効率的に見つけられるよう工夫されていました。今年の展示会で特に目を引いたいくつかのトレンドを以下にご紹介します。
1. サステナビリティとクラフトマンシップの融合
環境配慮はもはや特別なものではなく、デザインの前提条件となっています。リサイクル素材の活用やアップサイクル製品はもちろんのこと、製造工程での環境負荷を低減する取り組みをアピールする企業が数多く見られました。同時に、日本の伝統的な技術や職人技を活かした製品も注目を集めています。地方の工房が手がける木工製品や和紙を使った照明、織物などは、その品質の高さとストーリー性で、海外からのバイヤーからも高い評価を得ていました。
2. ウェルネスと心地よさの追求
心身の健康や幸福を意味する「ウェルネス」は、インテリアの重要なキーワードです。自宅で過ごす時間の質を高めるためのアイテムが豊富に展示されていました。例えば、上質な天然素材のルームウェアやタオル、心安らぐ香りのアロマディフューザー、そして五感を刺激するような手触りの良いファブリックなどです。デザインの美しさだけでなく、使う人の心地よさに寄り添う製品が求められています。
3. ボーダレス化するデザイン
屋内と屋外、家庭用と業務用といった境界線が曖昧になりつつあります。アウトドアリビングで使えるような耐久性とデザイン性を兼ね備えた家具や、オフィスのコミュニケーションを活性化させるような遊び心のあるインテリアなどがその一例です。また、特別企画として設けられた「インクルーシブデザイン」のエリアでは、年齢、性別、国籍、障害の有無にかかわらず、誰もが快適に使える製品デザインの重要性が示されていました。
まとめ
「インテリア ライフスタイル 2025」は、デザインが持つ力とビジネスの可能性を改めて強く感じさせる展示会でした。今回見えてきたのは、単に美しいモノを提案するだけでなく、その背景にあるストーリーや社会的な価値をいかに伝えるかが重要になるという、市場の大きな潮流です。
- サステナビリティの実践:環境配慮は避けて通れないテーマであり、企業の姿勢が問われる。
- ウェルネスへの貢献:心地よさや健康といった付加価値が消費者の選択基準となる。
- 多様性への対応:インクルーシブな視点が新たな市場を切り拓く。
これらのトレンドは、今後の製品開発やマーケティング戦略を考える上で、欠かすことのできない視点です。本レポートで紹介した内容が、貴社のビジネスをさらに加速させる一助となれば幸いです。