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【展示会レポート】住まい・建築・不動産の総合展、人材不足・人手不足 対策EXPO、デジタル化・DX推進展 2025

作成者: Shinsuke Uei|2025/06/08

2025年6月4日から6日まで、東京ビッグサイトは日本ビジネス界が直面する主要課題を体現するような熱気で満ちあふれていました。同時に開催された「住まい・建築・不動産の総合展(BREX)」、「人材不足・人手不足 対策EXPO(PEREX)」、「デジタル化・DX推進展(ODEX)」は、それぞれの専門分野を深く掘り下げつつも、分野を越えて連携しあい、現代企業が抱える難題への新たなソリューションを提示する場となりました。本レポートでは、これら3つの展示会を横断して分析し、各業界の最新トレンドと今後のビジネス展望について解説します。

第1章:主催とイベント概要について

本展示会は、株式会社イノベントが運営し、各実行委員会が主催となって、東京ビッグサイト東展示棟1~3ホールの広大な会場で開催されました。3つの展示会はそれぞれ、下記のテーマで展開されています。

  • 住まい・建築・不動産の総合展 2025(BREX):「住宅ビジネスフェア」「非住宅 木造建築フェア」「ビル建築・管理EXPO」など複数の専門展で構成され、建築・不動産業界における最新の建材や工法、不動産テクノロジー、DX関連ソリューションが一堂に集結する総合的なイベントです。業界の専門家たちが情報交換を行い、新たなビジネス機会を生み出す場として大いに機能していました。

  • 人材不足・人手不足 対策EXPO 2025(PEREX):今回が初開催となり、「人手不足」という社会的課題に特化した専門展です。採用支援サービスや人材育成、定着支援、業務効率化を支援する最新テクノロジーまで、多角的に人材課題へアプローチする多様なソリューションが紹介されました。企業の持続的成長に直結する重要テーマであったため、非常に高い関心を集めていました。

  • デジタル化・DX推進展 2025(ODEX):今年で5回目を迎える本展は、企業活動の基盤となるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を目的とした展示会です。バックオフィス業務効率化を実現するSaaS(Software as a Service)や、営業・マーケティング支援のAIツール、さらに自治体向けのデジタル化サービスまで、幅広いソリューションが一堂に揃いました。

なお、前回2024年の「住まい・建築・不動産の総合展」来場者数は2日間で14,170名が来場しましたが、2025年は開催期間が3日間に拡大し、初日から多くの来場者で賑わい、各ブースで活発な商談が繰り広げられるなど、その注目度の高さが際立っていました。

第2章:来場者の傾向

会場を歩いて印象的だったのは、来場者が自社の課題解決に強い関心を持ち、熱心に情報収集に取り組んでいた点です。それぞれの展示会の特徴に合わせた多様な来場者層も見られました。

  • BREXでは、工務店やハウスメーカー、設計事務所、ゼネコン、不動産デベロッパーなど、建築・不動産業界の現場を支える専門家が多数来場しました。経営層から設計、施工管理、営業など幅広い職種の方々が訪れ、ビジネスに直結する最新技術や建材、法改正への対応策を熱心に探求している姿が目立ちました。
  • PEREXには、業種を問わず企業の経営者や人事・総務部門の責任者が足を運んでいました。人手不足が深刻化する中、単なる採用施策だけでなく、従業員のエンゲージメント向上やリスキリング(学び直し)、福利厚生、フリーランス活用など、人材確保・定着・育成に向けた幅広いソリューションを求める強いニーズが感じられました。
  • ODEXでは、情報システム部門やDX推進室、経営企画の担当者などが多く見られました。具体的な課題(例:経費精算のデジタル化や顧客管理の効率化)を解決するためのソリューションを求めている層と、自社のビジネスモデル革新に向けて幅広いDXのヒントを探す層の両方が来場していたのが印象的でした。

3つの展示会に共通していたのは、意思決定に携わる役職者の参加が多かったことです。また、1つの展示会だけでなく複数の展示会を積極的に巡る来場者も少なくありません。これは、現代の企業課題が単一分野で解決できるものではなく、「建築業界のDX化」や「人手不足をITでどう解決するか」など、複数領域が連動する時代を象徴しています。来場者は自社の課題を多角的に捉え、分野横断的な視点で解決策を模索していました。

自社製木材を使用したブース

第3章:出展ブースの様子

各展示会の出展ブースでは、日本のビジネスが今まさに直面している課題と、それに対する具体的な解決策が提示されていました。

BREX:加速する建築業界のDXと不動産テック

BREXの会場で特に存在感を示していたのは、「建築DX」と「不動産テック」に関連するブースです。BIM/CIM(Building/Construction Information Modeling)関連のソフトウェアを展示するブースでは、3Dモデルを活用した設計・施工・維持管理の一元化による生産性向上のデモンストレーションが行われ、来場者が足を止めていました。また、VR(仮想現実)技術を用いた物件の内見システムや、ドローンを活用した測量・点検サービスなど、不動産業務の効率を飛躍的に高めるソリューションも注目を集めていました。さらに、人手不足を補うための省人化施工ロボットや、工期短縮に貢献する高機能建材の展示など、現場の課題に直結する製品も数多く見られ、伝統的な産業にテクノロジーが深く浸透していく力強い流れを感じさせました。

PEREX:多様化する人材獲得競争と定着へのアプローチ

初開催ながら盛り上がりを見せたPEREXでは、「採用DX」が大きなテーマとなっていました。採用管理システムやダイレクトリクルーティング、AIを活用した面接マッチングツールなど、テクノロジーを駆使して採用活動の質と効率を高めるソリューションが数多く出展されていました。 同時に、採用後の「定着」と「育成」に焦点を当てたブースも盛況でした。従業員の満足度や心身の健康状態を可視化するエンゲージメント向上ツール、キャリア自律を支援するリスキリングプログラム、AIを活用した研修ツール、ユニークな福利厚生サービスなど、人材を「資本」と捉え、その価値を最大化しようとする企業の姿勢がうかがえました。外国人材の活用やシニア人材の活躍支援といった、多様な働き手を確保するためのサービスも注目されていました。

ODEX:SaaSが主導する業務改革とAI活用の本格化

ODEXでは、企業のあらゆる業務を効率化するクラウドサービス(SaaS)が主役でした。経費精算、勤怠管理、電子契約、顧客管理(CRM・名刺管理)、営業支援(SFA)など、特定の業務に特化したSaaSを展示するブースが多く、来場者は自社の課題に合わせて具体的な製品を比較検討していました。 特に目を引いたのは、AI技術を組み込んだソリューションの進化です。単なる業務の自動化に留まらず、データ分析に基づく需要予測や、顧客へのパーソナライズされたマーケティング施策の提案など、AIが企業の意思決定を支援するフェーズに入ってきたことを示す展示も数多く見られました。また、巧妙化するサイバー攻撃への対策として、最新のセキュリティソリューションにも高い関心が寄せられていました。

まとめ:業界を越える共創とDXが拓く未来

今回の3大展示会を総括すると、現代の日本企業が直面する課題は、業界の垣根を越えた共通のテーマであることが浮き彫りになりました。そして、その解決の鍵を握るのが、分野横断的な「共創」と、あらゆる産業の基盤となる「DX」です。

建築・不動産業界は、DXと新たな人材戦略によって生産性革命の入口に立っています。人手不足という深刻な課題は、裏を返せば、テクノロジーの活用や働き方改革を推し進める絶好の機会とも言えます。そして、それらを実現するための具体的なツールやサービスは、ODEXやPEREXの会場に満ち溢れていました。本レポートをご覧の皆様の企業においても、自社の事業領域だけで課題を捉えるのではなく、今回の展示会が示したように、異分野の知見やテクノロジーを積極的に取り入れる視点が不可欠です。

今回の3大展示会は、個別の課題解決策の提示に留まらず、これからの日本経済を支える産業構造の変革と、企業が向かうべき未来像を力強く示す、示唆に富んだ展示会でした。ここで得られた知見が、皆様のビジネスを次なるステージへと押し上げる一助となれば幸いです。

株式会社ネクスドライブでは、展示会出展のコンサルティングから1日から単発利用できる展示会営業代行・事務局代行までを提供し、展示会の成果を最大限に引き出します。お気軽にご相談ください。