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【展示会レポート】FIT2025 金融国際情報技術展:金融DXと生成AIの「実践的活用」最前線

作成者: Shinsuke Uei|2025/10/14

2025年10月9日(木)から10日(金)の2日間にわたり、東京国際フォーラムにて「FIT2025(金融国際情報技術展)」が開催されました。本展示会は、金融機関が直面するデジタルトランスフォーメーション(DX)に関する課題を解決する多様なソリューションが一堂に会する、国内最大級の金融機関向け展示会です。当社の視点から、今回のFIT2025で確認された主要なトピック、来場者の関心、そして金融業界におけるテクノロジー活用の最新動向を分析し、レポートとしてお届けします。


第1章:主催とイベント概要について

FIT2025は、金融総合専門紙であるニッキン(日本金融通信社)が主催し、金融実務と実践に即したITソリューションに特化しています。会場は東京国際フォーラムの全ホールを利用し、160を超える企業が金融機関向けの最先端ソリューションを展示しました。

金融機関を取り巻く環境の変化に対応し、展示会では「業務構造の変革」をもたらす技術導入をテーマに掲げた出展が多く見受けられました。本展示会は年に一度、金融機関のIT・企画・実務といった各部門の担当者が集い、商談や情報交換を行うための重要な場として定着しています。ちなみに、前回のFIT2024では2日間で19,300名の金融関係者が来場しており、今年のFIT2025もそれに匹敵する多くの来場者が見られました。

第2章:来場者の傾向

FIT2025の来場者は、メガバンク、地方銀行、信用金庫、証券、保険など、あらゆる金融機関の職種を網羅していました。来場者の関心は、従来のシステム刷新や情報収集に留まらず、「テクノロジーをいかに成果に直結させるか」という、より実践的なフェーズへと移行していることが明確に確認されました。

来場者から特に注目を集めたのは、生成AIの業務活用や、それに対応したガバナンス体制の構築に関するものでした。「生成AIを活用したローコード開発によるシステム構築の効率化」や「AIによるデータ分析を活用した新たな融資機会(与信等)の発見」など、収益部門でのAI適用事例が大きな関心を集めていました。さらに、金利上昇への対応としてのリスク管理高度化や、サイバーレジリエンス強化を目的とした最新のセキュリティ技術、FIDOに対する引き合いも多く、来場者の現在直面している課題が如実に表れていました。

第3章:出展ブースの様子

出展ブースは、金融機関の「今すぐ取り組むべき課題」を解決するための実用的なソリューションで溢れていました。

  1. 生成AIの導入環境:多くの企業が、金融機関の厳格なセキュリティ基準やコンプライアンス要件に対応したクローズドな生成AIプラットフォームを提案していました。実際のデモでは、契約書や規定文書の自動要約、FAQへの自動応答など、即効性のある業務支援機能が紹介され、来場者による積極的な商談が行われていました。
  2. 業務改革と効率化:デジタル技術を活用した内部統制の効率化や、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の進化形としてローコード/ノーコード開発ツールの展示も増加傾向にありました。こうした流れは、金融機関が限られたIT人材のもとで迅速なDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しようとする戦略的な動きを示しています。
  3. 顧客体験(CX)とチャネルの変革:顧客一人ひとりに合わせた対応を実現するデータ統合プラットフォームや、非対面チャネル向けの安全な本人確認(eKYC)ソリューションも多く見られました。これにより、店舗とデジタルチャネルの連携強化による顧客満足度向上への具体的な取り組みが、各ブースで打ち出されていました。


まとめ

FIT2025は、金融業界が「デジタル戦略の実装」という次のステージへと進化したことを示す場となりました。生成AIは、もはや試験的な段階を超え、業務効率化や収益構造改革の中核を担う技術として金融機関向けに確立されています。本展示会で得た知見は、金融機関が今後の競争力を強化するための大きな重要なヒントとなりました。

 

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