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【展示会レポート】コールセンター/CRM デモ&コンファレンス 2025 in 東京:CX向上の鍵となる自律型AIエージェントとコンタクトセンターDX

作成者: Shinsuke Uei|2025/11/14

2025年11月13日(木)・14日(金)の2日間、池袋サンシャインシティ・文化会館ビルにて「コールセンター/CRM デモ&コンファレンス 2025 in 東京」が開催されました。本展示会は、国内最大規模のコンタクトセンター・CRM業界専門展示会として、企業が抱える顧客エンゲージメント戦略や次世代カスタマーエクスペリエンス(CX)実現に向けた最新ソリューションが一堂に集結する場となりました。

本レポートでは、コンタクトセンターDX推進の鍵となる最新技術のトレンド、とりわけ来場者から注目を集めた「AIエージェント」や「音声×AI」の進化、およびそれらによって現場にもたらされる具体的な変化についてご紹介します。

第1章:主催とイベント概要について

本展示会は、コンタクトセンター業界専門誌『月刊コールセンタージャパン』を発行する株式会社リックテレコムとインフォーマ マーケッツ ジャパン株式会社の共催により、第26回目の開催となりました。会期は2025年11月13日(木)・14日(金)の2日間で、10:00から17:30まで実施されました。年間500回以上開催される国内BtoB展示会の中でも、コンタクトセンター業界に特化した展示会は非常に希少です。

展示会とカンファレンスが融合した構成が特徴で、今年は特に「AI、チャットボット、RPAなど最先端技術を活用した最新ソリューション」がプログラムの中心となりました。出展品目は、コンタクトセンタープラットフォームやCRMパッケージ、音声認識、CTIミドルウェア、ナレッジマネジメント、ヘッドセットなど、コンタクトセンター運営に関わるあらゆる製品・サービスが網羅されています。昨年2024年には9,203名が来場しており、今年もコンタクトセンターDXの高い関心を背景に、活気ある会場となっていました。

第2章:来場者の傾向

来場者の属性をみると、コールセンターやカスタマーサポート部門のセンター長、マネージャー、スーパーバイザー(SV)といった現場の責任者に加えて、経営企画、CS・ES推進、情報システム部門の担当者など、多岐にわたる職種の方々が課題解決のヒントを求めて参加していることが明らかになりました。これは、コールセンターが全社的な顧客体験(CX)向上やバックオフィス業務のDXを推進する戦略的拠点としての役割を担っている現状を示しているように思えます。

特に来場者が強い関心を示していたトレンドは、「AIエージェント」と「現場支援」の二点です。

  1. 自律的なAIの需要の高まり:従来のチャットボットやボイスボットの枠を超え、問い合わせ内容に応じて自律的に対応・判断できるAIや、24時間365日途切れることなく顧客対応を実現するソリューションへの関心が高まっています。AIを活用したインバウンドの問い合わせ対応やアウトバウンドセールスといった新しいサービスも多く見られ、「AI×音声」分野における技術革新のスピードが顕著です。

  2. 会話データの利活用とオペレータ支援:オペレーターの応対品質向上や応答時間の短縮(ACW短縮)を目指した「会話データ活用」への注目度は非常に高い状況でした。具体的には、音声認識によるリアルタイム文字化や感情分析といった技術のほか、これらを活用したSV・オペレーターへの実用的なナレッジ提供、応対評価、マネジメントの自動化などが大きな関心を集めていました。

来場者が注目していたのは、最新技術を活用し「コスト削減・業務効率化」と「顧客満足度向上」を同時に実現するための具体策を模索する姿でした。

第3章:出展ブースの様子

今年の展示ブースを見渡すと、コンタクトセンターの技術革新が「自動化」から「協調」へとシフトしている様子がうかがえました。多くの出展社が、AIと人間が連携して業務を進めるハイブリッド型のソリューションを中心に展示していたのが印象的です。

今年の出展ブースでは、テーマにも掲げられていたAIエージェントが大きな注目を集めていました。実際に、顧客からの電話対応をAIオペレーターが担う「全電話応対AI化」や、顧客一人ひとりの状況に合わせて最適なサポートを提供する「対話型AIエージェント」など、さまざまなデモンストレーションが行われていました。これらのAIは、単なるFAQ案内にとどまらず、CRMやSFAなどの顧客管理システムとAPI連携し、蓄積されたデータを活用した高度な意思決定を実現できる点が強調されていました。

また、システム面では、通話業務の効率化を支援する音声通信プラットフォームや、クラウド型CTI/コールセンターシステム「BIZTEL」など、既存インフラを活かしつつ、マルチチャネル・オムニチャネルにシームレス対応できる展示が多く見受けられました。さらに、ARリモート支援プラットフォームといった現場への視覚的サポートを強化する新しいソリューションも登場し、オペレーターの業務負担を直接軽減するDXツールが豊富に紹介されていました。また、実際にヘッドセット製品を体験できる展示も注目されていました。

まとめ

「コールセンター/CRM デモ&コンファレンス 2025 in 東京」では、人材不足や多様化する顧客ニーズなどコンタクトセンター業界が抱える課題に対し、AIをはじめとする最新テクノロジーをどのように活用すべきかが示されました。今年のテーマは「AIエージェントによる業務の自律化」と、その基盤となる「データ活用による現場支援」と言えます。

企業が成長を続けるためには、単なるシステム導入にとどまらず、AIがもたらすデータや知見を活かし、オペレーターやSVなど「人」の生産性向上とCX(顧客体験)の最大化を図る戦略的なDXの推進が重要となります。今回の展示会では、そうした課題に応える具体的なソリューションや成功事例が多数紹介され、今後のコンタクトセンター運営に活かせる貴重な学びの場となりました。

 

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